株式投資(著者:シーゲル)を読みました

株式投資(著者:シーゲル)を読みました

長期投資なら株式が一番、という論調一辺倒なのかと思いきや、色々な事例を取り扱っています
季節のアノマリーとかにも肯定的なのはかなり意外でした
特に最終章の21章は綺麗に纏まっており、今後資産運用するにあたり大いに参考にします

半面、話題が多い分、個々の事例は軽く触れるだけなのは難点でしょうか
こんなことがありました、あんなことがありました、以上、という章もちらほら見受けられ、そこは残念です



投資を成功させる指針

分散された株式ポートフォリオを保有し続けるだけならだれでもできるはず
しかし、短期投資の成功者を羨む気持ち、着目したが買わなかった株の暴騰などから市場に打ち勝とうとして、リスク過剰とコスト高、相場の上下に振り回されてしまうと記載、
21章ではそれを避けるための6項目を挙げられてます

一つずつチェックしてみようと思います

1.期待値を過大にしないこと、具体的には過去利回りの7%程度にすること
→OK。そもそもインフレに勝てたらよいかなと考えています

2.投資期間が長くなるほど、株式の保有割合を上げること
→微妙。リスク資産内では株式は事実上100%(MMF持ってるけど待機資金)
 ただ、リスク資産比率自体は低いので、徐々に上げていく予定です

3.大部分は国際分散した低コストインデックスファンドにすること
→微妙。現在は個別株の割合も大きい
 2019年9月現在では4割以上個別株。これも最近徐々に減らしていこうかと検討中

4.株式の1/3は日本以外とすること(原文は米国以外を読み替え)
→OK。米国株や新興国も十分保有しています

5.バリュー株(低PER)を追求すること
→大体OK。個別株も高PERの企業はあまり保有していません
 今後も買わないわけでは無いのですが、資産全体の割合の多くを占めるという状況は想像できません

6.確固たるルールを作ること
→NG。まだそこまでのルールはありません
 このブログを更新していく上で設定できたら良いなあ



長期で見れば株式は強いが、その長期は長すぎるかもしれない

第1章、第2章あたりでは長期投資下での株式の強さが記載されています

・長期的なデータで見れば、一貫して債権、金、現金(ドル)を上回る
・30年の利回りは株が債権より上、株価のピークで投資を初めてもそのうち追いつける
などのデータをもとに、長期投資なら株式比率は100%以上(レバレッジを掛ける)が合理的と主張しています

ただ、1925年から2007年まで持ち越した場合・・・など超長期の例も多くみられます
この例だと80年・・・人生100年時代と言えども、投資期間80年は非現実的な長さです

更に、1801年から名目トータルリターン比べた結果においては、
1801年から1861年までは株式も長期債もリターンは同じです

60年と言えば私の資産運用の歴史を丸々含む期間です
だったら価格の変更に悩まされない分、債権の方が良いですね

昔の話なので今と比べて良いのかと言う観点もありますが、それは置いておくとしても、
十分な長期というのは非現実的な長さの可能性があることは頭に入れておいた方が良さそうです

取り崩し時に暴落してもそのうち復活するという意見も見受けられますが、
歴史上では30年以上に渡り報われないことも多数ありました

結局のところ、出口戦略に大きく左右されそう・・・やはり、出口戦略は大事・・・



未来の株式の動向

第8章では、経済成長と高齢化の影響について記載されています
将来の動向については、未来予測と長期予測で記載したように、未来の大きな流れに沿って投資していけたらと考えています

個人的に、以下の3つは想定しておきたいと考えました
①経済成長と利回りの向上は関係ない
②リスクが平準化されると利回りが減る
③全世界で高齢化が進む時代

①経済成長と利回りの向上は関係ない
経済成長には設備投資が必要=資本を集める必要があり、1株当たり利益はその分減るという話です
実際に、経済成長している時期に株価が伸びているかと言えば、必ずしもそうではないようです

この発想は全然無かったので衝撃的です
経済成長してれば株価も伸びるだろうというのが私の直感でした・・・
成長する分野だからといってそこに集中するのも微妙なのかも

プレノンの株式投資様が「成長銘柄でなくたって、市場の期待値さえ低ければ十分なリターンは得られる」という記事も、成長と衰退は逆ですが、類似例でしょうか


②リスクが平準化されると利回りが減る
コストの低下と経済の安定化により、利回りが減るということです

昔は株式の取引コストは高く、流動性も低く、税金も高かった、とマイナス要素がありました
逆に、経済のボラティリティは一貫して低下(例として鉱工業生産の変動率が激減している)しており、マクロ経済は安定傾向にあります
歴史的なperは15倍ですが、上記背景から平均perは上がっていくことを記載されています

近年、戦争・不作・災害とかの脅威も減り、病気・怪我で死ぬことも減っています
明日死ぬかもしれない状況で株式投資する人は少ないでしょうから多くの人が株式投資を選択することで、今後ますます株の買い手は増え、その分リターンは小さくなるのかもしれません

PERの高低の基準を持つ場合、歴史上より多少上に基準を持たせる必要があります

余談ですが、過去の特権階級(貴族とか)がある程度長期間君臨できたのも、
参加者が少ない投資に力を入れていたからという仮説を思いつきました


③全世界で高齢化が進み切った場合
資産を消費に変換するには、逆に消費を資産に変換する人が必要です
高齢化により資産を買う人の減少により、株価は暴落するかもしれないと記載されています
債権では腹を満たすことができない、は秀逸な表現ですね

ただ、①で触れたとおり、経済成長が期待できる(=資本が必要な)途上国が資産の引き受け手となることで、もう暫くこのパターンが続くことも記載されています

途上国が無くなった場合はこのパターンは成立しなくなり、その場合については触れられていません
まあ、インドの経済成長はこれからですし、その後はアフリカも控えているので、私には関係なさそうです
今10代の人とかは影響する可能性はありますが。。。



景気動向・出来事・指標と株価の間に連動性はない

第12章では、株価と経済環境について、1987年の暴落時アメリカの経済は絶好調と予測されていて、かつ、その通り絶好調であったにも関わらず暴落した記載されています
また、景気拡大/後退期と、その時の投資家の強気/弱気も、ずれているようです

景気の山と谷を当てることは難しいことですが、更に、仮に当てたとしても株価はそれに逆らって動く可能性もあるという2重のハードルを越えないといけません

13章では、ダウ平均が大きく動いた際に特別のケース(戦争、政変、政策変更)があった日は僅か1/4と、何かがあったから動く、というものでもないと記載されています

更に、戦争があった場合の株価も、前回の戦争時の状況を織り込んで動くことで毎回違う様相を示していることから、過去の重大な出来事を参考にするのも簡単ではなさそうです

16章では、重要な歴史があります。VIX(CBOEボラティリティ指数)は1987年10月16日に40に達した後、更に暴落しています
この直後にブラックマンデーが発生したことから、VIXを見て投資した人は大損です
歴史的には結構信用できそうなVIXですら、外してしまうのが現実です

株価は世間の状況や人の思惑、最近ではAIによる高速取引など、様々なパラメータにより決定されるため、読むというのは非常に困難なのでしょう

資産運用戦略で景気の動向を読むのに多少有利なのが強みと書きましたが、
思ったより優位性に繋がらないのかもしれません



資産運用は結果論の側面も大きい

第19章では、優れたファンドマネージャを見分けるのが難しい例として、平均を上回る銘柄選択能力を持つファンドマネージャが、市場を上回る平均利回りを獲得する確率について触れています

ファンドマネージャが市場利回りより3%高い銘柄を選択する能力があっても、30年後に5%程の確率で市場平均を下回ります

ファンドマネージャが市場利回りより5%高い銘柄を選択する能力があった場合でも、流石に確率はかなり下がりますが、それでも30年後に0.5%の確率で市場平均を下回ります

正しい選択をしたとしても市場平均を下回る可能性は想像より高いことがわかりました

正しい選択をしても結果は失敗する可能性が高いことは非常に面倒な話です
自分が選択した戦略が正しかったのか、それとも誤っていたのか、パフォーマンスからは推し量れない、つまりフィードバックにより修正していくことが不可能なことを認識せねばなりません

これは、短期だと更に激しく、市場平均を5%上回る銘柄選択能力をもってすら、2年後に25%ほどは市場平均に負けます
これではフィードバックすると、寧ろ誤った学習に繋がってしまいます

私のための資産運用で記載しましたが、正しい選択が望ましい結果に繋がらないことは、投資の難しさの一つと考えます












にほんブログ村 株ブログへ
にほんブログ村

0 件のコメント :

コメントを投稿