アセットアロケーションに関しての考え

アセットアロケーションとは、正の相関のない複数の資産クラスに投資することでマイナスリターンを軽減する戦略と捉えています

私はこの考えには致命的な問題点があると考えていて、そこまで重視していません

この考えは、あくまで予想でしかないリスク、リターン、相関関係を元にしており、信頼性には欠けていると考えます
加えて、リスクについては予想より大幅に乖離する可能性も大いにあります

資産運用戦術で記載したように、ある程度決めた割合を持つ戦術を取ってはいますが、これはアセットアロケーションの考えに依るものではありません

つまり、割合を見るのはあくまで分散するためであって、株:現金を〇:〇にすると一番効率的、という考え方を取ってはいないということです



アセットアロケーションとは

ぼんやりとしたイメージなら持っているのですが、文章にするとなると中々難しいです
「資産(アセット)をどの資産クラスにおいておく(アロケーション)か決める戦略。例えば株20%、債権20%、現金60%とかです」
とすると目的が全く入ってこないので、本質ではないと思われます

私としては、正の相関のない複数の資産クラスに投資することでマイナスリターンを軽減する戦略、という表現がキモを捉えていると思いました

※xが増加するとyも増加する傾向にある場合、正の相関があると言います
 逆に、xが増加するとyが減少する場合、負の相関があると言います

xとyを同時に持つと、xが上がればyが下がるので一見意味が無いように見えます
しかし、xもyもリターンがプラスの場合、同時に持つことで、リターンを維持しつつリスクを減らすことができます

具体的には以下のサイトで詳しく解説されています
つみたてNISA総合ガイド



具体的なアセットアロケーションの例

具体的な数字で比較してみます。簡単のため、資産クラス=1つの商品とします

①リターン5%リスク10%の商品を1つ買う
1年後運悪く元本割れする可能性が32.1%ほど存在します
期待値:105.0 標準偏差:10.0 中央値:104.5 最頻値:103.6

②リターン5%リスク10%の商品を2つ買う(相関係数0)
1年後運悪く元本割れする可能性が24.5%ほど存在します
期待値:105.0 標準偏差:7.1 中央値:104.8 最頻値:104.3

③リターン5%リスク10%の商品を2つ買う(相関係数-1)
1年後運悪く元本割れする可能性が0%ほど存在します
期待値:105.0 標準偏差:0 中央値:105.0 最頻値:105.0

期待値は同じですが、元本割れリスク、中央値、最頻値ともに③がベストです
このように正の相関の無い複数の商品に投資することで、平均リターンを同等以上としつつ、損失を抑えることを実現しています

ただし、完全な上位互換ではなくデメリットも存在します
具体的には、大きく資産を増やせる可能性は①が優っています

ただ、①~③のどれを取るかと言われたら、圧倒的に③な人が多いと思います




アセットアロケーションの活用法?

どの資産クラスにどれだけ分配するかは主にリスクとリターンを考えて決めていくことになります
安定をとるなら現金を増やしてリスクを抑え、稼ぎたいなら株の割合を増やしてリスクをとります

この割合を決めるのが重要らしいですが、私は後述の通り問題点があると考えており、そこまで重要視しません
(尚、この割合を決めるのが重要というのも私は信じていません→アセットアロケーションでリターンが9割決まるという嘘

アセットアロケーションについては、参考までにチェックくらいはする程度に留めます

とはいえ、リターンとリスクを元に将来の運用結果をシミュレーションできるサイトも多く、ぱぱっとチェックできるので一度は計算しておいても良いかもしれません

シミュレーションについては、以下のサイトが便利そうです
長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海
(先の計算もこのサイトをお借りしました)




アセットアロケーションの3つの問題点

さて、アセットアロケーションの考え方には3つ問題点がありますので、確認していきます

①リターン、リスクは予想でしかない
②相関関係が無いことは証明できない
③リスクを読むことは難しい

①リターン、リスクは予想でしかない

多くの解説では大々的に触れられてないようですが、リターンとリスクは予想でしかないことが最大の問題点です
注意事項として小さく書いてあることも多いですが、寧ろそれが一番大事ではないでしょうか

つまり、リターン5%リスク10%の商品と思って購入したものの、実はリターンが0%ならどうなるでしょう?
・・・損する可能性が高くなりますね

アセットアロケーションの考え方は、リスクとリターンを前もって知れるということが前提です
しかし、そのような事ができるなら苦労しないのでは?というのが第一の問題点です

話はそれますが、資産運用とその理論で記載していますが、時価総額加重インデックスが必ずしも最高ではないと考える理由もここです

リスクもリターンもどの位正確なものか不明です
不明なものに心血を注いでも仕方ありません

どの程度重視するかは人それぞれなのかもしれませんが、少なくとも、株式が1%予定より増えたからリバランスしないと!というのは過剰反応なのは間違いありません



②相関関係が無いことは証明できない

アセットアロケーションの考えは、それぞれの資産クラスの正の相関が無いことを前提としています
しかし実際に相関があるかないかを示すのは困難です

過去の歴史を見るにしてもサンプル数が小さすぎます。精々200年分、つまりサンプル数200です
更に、50年前と今では環境が違いすぎて、参考になるかという疑問もあります

相関については、よく債権と株式の話が持ち出されます
しかし、1979年から2006までの米国債と株式の相関係数の推移を見ると、どちらかといえば無いように見えます

さらに言えば、未来の相関係数を知る必要がありますが、そんなものが分かるのならダイレクトに株価の推移を予想できるのではないでしょうか


参考リンク:
相関係数の誤解 - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
相関係数は常に動き回っていて一定ではないというデータを示されています

吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)様
異常事態には債権は株式よりやられている実例を挙げられています



③リスクを読むことは難しい

リスクを読むことは難しいに記載したように、想定した以上のことが長期で投資する上では高確率で発生します

アセットアロケーションから最大ドローダウンを想定しよう!という話もありますが、殆どの場合リスクを過小評価しています

そのため、こんなはずではなかった、これは異常事態だ、となって「その時点で金融資産をすべてパニック売りして全て円に変えてしまう事態」に高確率で遭遇しかねません



私のアセットアロケーションとの付き合い方

上記の理由から、私としては、アセットアロケーションという考え方は必要なものの、それほど深く考える必要はないと判断します

アセットアロケーションの考えはあくまで予想でしかないリスク、リターン、相関関係を元にした上で、更にその予想から大幅に乖離する可能性が非常に高いという、砂上の楼閣的な考え方と思います

全く見ないわけではありません
しかし、気が付いたら手持ちの資産が全部株式だった、みたいにならなければそれでよいかな、というレベルで活用したいと考えます



給料を考慮したアセットアロケーション

日本円への全力投資で記載したように、今後の給料も含めて考えると、
給料の影響が高すぎて、どうあっても日本円に集中投資から逃れられません

この考え方から、私は基本的には日本への投資は生活防衛資金を中心として、
リスク資産としては海外への投資比率を増やしたいと考えています



他の人のアセットアロケーションを参考にする場合の注意点

最後に、他人が公開しているアセットアロケーションを参考にする場合の注意点です
公開されたアセットアロケーションは、真実では無いかもしれません

まあ、それは当然として、公開されたアセットアロケーションが真実としても更に気を付けることがあります
以下、色々な場合を挙げてみます

①本人のリスク資産を全て絶対額で公開しているとは限らないし、年齢や職業も考える必要がある



「公開されたリスク資産」が正確なものとしましょう
しかし、公開しているリスク資産が持っているリスク資産の全てとも限りません
もしかしたら一部しか公開していないこともあるでしょう

金額を公開していない場合、資産が10万なのか1億なのかでも全く違います
10万なら全部仮想通貨にフルインベストメントでも不思議ではないですが、
1億を仮想通貨にフルインベストメントしてたら狂人かもしれません

また、資産では無いですが、年齢や職業によっても全然違います
年齢20の人の株式投資フルインベストメントと、60の人のそれは違いますし、
首になりやすい企業と、公務員のフルインベストメントの意味はそれぞれ違います



② 無リスク資産、他の資産があるかもしれない


ひょっとすると、無リスク資産を相当所持している可能性もあります
投資に使う預金は公開している人が多いかもしれません
しかし、生活防衛資金は公開していない人も多い印象です

特に、ローンを完済している新築に近い住処を確保している場合、今後のキャッシュフローが大きく違います
学資保険を始めとする、貯蓄の側面がある保険の有無も相当影響は大きいと思います

③妻が超保守的かもしれない

 




妻が超保守的で、多量の現金を持っているかもしれません
この場合、夫が相当のリスクを取っていても実は家庭としてのリスクは低い可能性があります
妻の方が資産が大きい場合、夫婦の資産の9割が現金かもしれません

また、妻が職業:公務員で安定しているかもしれません
その場合、仮に投資が失敗して夫が失業するダブルパンチを受けても何とかなるため、見た目よりリスクは低いです


④親からの遺産が莫大かもしれない

もしかすると、親から土地付きの豪邸を引き継ぐかもしれません(笑)


公開範囲には注意しましょう

①~④を全て兼ね備えた場合、以下の図のようになります











この状態であれば、借金してレバレッジ上げて資産全額をベンチャー企業に投資するぜ!と言っていても、実は全くのノーリスクに近い可能性があります

9割くらい冗談ですが、他人のアセットアロケーションを見る場合、
そのくらいの感覚で見る方が安全でしょう


参考リンク

アメリカ株でアーリーリタイアを目指す様
アキバ系投信自作派様








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