ファンダメンタル分析とテクニカル分析について

私は、ファンダメンタル分析にもテクニカル分析も、それほど重視していません
両者ともそれに賭けるに足りる信頼性がないと考えているからです

先に投資先を決め、最後の一押し、あるいは、買う前の最終確認程度に使っていく予定です



ファンダメンタル分析とテクニカル分析

ファンダメンタル分析もテクニカル分析も、分析に従い投資する手法は私は微妙と考えています
勿論、両方とも一理あるものの、結局は「センス」的な何かの方が支配的と考えています
私が考える両社の定義は以下の通りです

ファンダメンタル分析
業績などの情報から「本来の価値」を見定めるための分析です
すなわち、「本来の価値」と今の株価(配当込み)を見定めて、割安な株を探すことで将来の利益を狙うための分析です

テクニカル分析
株価の変動のパターンにより、比較的短期間の「次の株価の動き」を予測する分析です
会社名とか今期業績とか、何を扱ってるか利益はいくらかなどは一切見ることはありません
極端な話チャートだけあれば、それが何のチャートか(企業名なのか金なのか、・・・)を知らされないままでも成り立つ分析です



私が懐疑的と思う理由

ファンダメンタル分析

公開されてる情報なんて極一部です

もちろん、大事な情報には間違いありません
従って、私は仕事上では取引先のファンダメンタル(特にIR情報)を公開日に確認します
しかしながら、実際の状況と、発表される状況って、大きく違うことも多いです

IRにかなり強気な言葉が並んでいても(実際に数字は良い)現実は苦しいことがあります
逆に先行きに不安がある記載をしていても実は堅実な成長が見込めるということは多々あります(毎回のように情報修正する会社もありますね!)
そしてそれは、間違いなく、IRだけでは絶対に見抜けない情報です

また、取引先のIRの内容は、発表時点では既に私が知っていることが大部分です
万が一、私の取引先のIRに知らない情報があれば、それは事前の情報入手の努力が足りないと恥じ入るべきこととすら感じます

新聞・ネットの話題等についても(その業界のプロなら)間違いなく既に知っていることが流れているだけです
しかも、往々にして誤っていたり、不十分な情報だったりします

例えば、新型iPhoneの発売時期なんて、iPhoneに関わる業務をしていればほぼ確定で分かります
当然新型iPhoneの売上情報も決算前に分かります

右手に事実とは違う情報、左手に過去の情報を装備して、これから成長する会社を選べるとはとても思えません

その他にも、ファンダメンタル分析への反論は多数あります

まず、「本来の価値」は、ROEをはじめとする指標にも公開文書にも書かれない内に変動することがありますが、それが株価に織り込まれないことは日常的です
わかりやすいのは、マイナスの話ですが、不祥事や不正です

例えば、JNJ(ジョンソンアンドジョンソン)は、2018年末に、ベビーパウダー製品に発癌物質が混入するケースを認識していたと報じられて株価が10%以上落ちました
(参考リンク:バリュー投資家『鎌倉見物』の米国株投資様

この情報が真であれば、今までの株価はファンダメンタルに合わない価格だったということですし、この情報が偽であれば、ファンダメンタル分析ではこの下落の理由は説明ができません
どちらに転んでも、ファンダメンタル分析を否定する出来事です

他にも、決算を跨いで株価が乱高下するのは「本来の価値」を分かってる人が居ない証拠です
競合との競争で重要な特許が認められた、などなら1日で企業価値が変わるのは分かりますが、決算での発表は基本的に全て事前に知っている人が居る情報です

更に言えば、企業の中の人でも株価の予測はできない可能性は高いです
(私の経験ですが、→個別株の購入方針

これが、私がファンダメンタル分析に懐疑的な理由です

テクニカル分析

テクニカル分析は、ローソクなり移動平均線などの指標で勝てるなら全員それやるだけじゃん!が全てになります

仮にテクニカル分析が有効だとしても、近未来にはAIによるテクニカル分析には絶対に勝てなくなりそうです・・・



効率的市場仮説や現代ポートフォリオ理論も微妙・・・

真面目にレポートとかを読んだことは無いのですが、この辺の理論に対しても私は懐疑的です

効率的な市場では、株価は全てを織り込んでいるとよく言われます
現代ポートフォリオ理論はこれを前提としているようです

しかし、ならば、時間をかけて10倍になる株があるのはどういうわけでしょう

市場が適正価格を付けるのであれば、上場直後に適正な価格に落ち着くはずです
つまり、10倍になる株があることが、市場が非効率であることの証明です


勿論、私が各種分析や理論を一切使わないというわけではありません

買う前には、ファンダメンタルに関するIRや移動平均線は確認しようと考えています
しかしながらそれらは、先に大きな流れを考え、買う銘柄を選定した後に使うことになります
つまり、最後の一押しの為に使うだけであって、ROEが良いから買う、ゴールデンクロスだから買う、ということはないでしょう



私の使い方

あくまで先に投資したい企業があって、検討の際の項目として各種分析を活用する、というのが私のファンダメンタル分析とテクニカル分析の使いどころになります

雑にまとめると、買う理由を付けるために見る、程度ですね



参考リンク+追加考察

プレノンの株式投資様
定義されているファンダメンタルズ自体が作られたモノという視点は、
確かに言われてみればその通りです
以下ではROAを操作できる例です

(抜粋)
「リースの定義とは「資産が物理的に区分でき」、「その区分された資産の使用を顧客が支配する権利を有する」こととなっている。(中略)
これはオペレーティングリースに該当するだろうか。答えは否で、なぜならAWSが貸しているのはサーバーの物理的な一部分ではなく、容量という抽象的なものに過ぎないのだから(中略)
しかし顧客はAWSの要領を借りることで、(中略)資本を使用している(中略)
実質的に同じことをやっているのに、クラウドを利用するとROAを底上げできてしまう問題点が再び浮上するのだ。」


同じくプレノンの株式投資様と、追加でもう一つ
ROAの高低は業種により違うということを分かりやすく記述されています
例えば、「銀行はレバレッジをかけまくってROEを高める。預金という非常にコストの低い負債を用いて。(銀行の自己資本比率はほとんど1桁台だ)」

また、売上高利益率も然りです
「商社のビジネスの本質は、「商材を90円で仕入れ、100円で売る。」というところにはない。 負っている機能やリスクを踏まえた正確な表現はこうなる。「商材の販売仲介の対価として、10%の手数料を得ている。」」

これは他の指標でも同じだと考えます

細かく言えば、同じ業種でもその形態はさまざまなはずです
具体例として、楽天証券は他の証券会社と比べ、「楽天経済圏の1つ」という決定的な違いが挙げられます

楽天経済圏を持つ楽天証券と、純粋な証券会社を比べるのはバカバカしいですよね

でも、全く同じ業態の会社なんて、パッと思いつく企業がありません
(実際には違うかもしれませんが)イメージ的には松屋と吉野家とか?
精々その程度

となると、その形態の違いを各種指標に反映させる必要に迫られます

ではどうやって?となると、「センス」しかないでしょう
つまり、数字そのものの意味は無くなるとは言いませんが、限りなく小さくなります


プレノンの株式投資様

「足元の現金流出が長期化せざるを得ないのなら既存設備が生み出す将来キャッシュフローは簿価以下となり減損を免れないし、顧客が破綻するなら売掛金は回収できないため貸倒引当金を計上しなければならない。
(中略)
 したがって評価性損失は「発生可能性が高い」場合においてのみ認識されることとなる。そして「発生可能性が高い」という閾値は、裏を返せば可能性が高くならない限り損失は一切発生しないことを許容する。悪いことに閾値ははっきりと目に見えるわけではないため企業の都合で自由に上げ下げできる余地が残されている。ある企業はこれを良い機会とばかりに閾値を下げ次の決算で損失をたくさん計上してくるだろうし、またある企業は財務制限条項に抵触しないよう閾値を上げ損失を先送りするだろう。」

私としては、こんな思惑の混ざる資料を基に本質的価値を見出せるとは思わないんですよね・・・



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